10月12日(日)と19日(日)の2日間、「拡張するファッション演習」2025年度のプログラムの第二弾として、ファッションデザイナーのキム・ソヒさんを迎えたワークショップを開催しました。
“服をつくる”・“服を着る”という日常的な行為を、実験的なプロセスで捉え直し、身体と衣服の関係に新しい視点をひらくプログラムです。

10月12日|Tシャツを自由に着る

アーティストのキム・ソヒさん

ソヒさんの自己紹介の後、親しみのあるTシャツを素材に、解体と再構成に挑戦します。
参加者は最初こそ「どこから手をつけよう」と慎重でしたが、ハサミを入れ、縫い、結び、ねじり、巻きつける……と手を動かすうちに、表情が一気にほぐれていきました。

袖が襟になったり、裾がストラップに変わったり、身体の動きに合わせて形が変化する仕掛けが生まれたり。
“服の決まりごと”が外れていくほど、制作はどんどん楽しくなり、会場のあちこちで想像のスイッチが入っていくのがわかります。

最後は出来上がった一着を身にまとい、ファッション誌のようにルック撮影。素材の持ち味と身体の動きが響き合う、個性豊かな写真が並びました。

10月19日|繋いでつくる(Magic Loop)

2日目は、解体・裁断された古着の断片からスタート。
布端に残る縫い目やシミ、伸び縮みのクセといった“痕跡”を読み取り、それらを活かして次の形を決めていきます。

この日は、急遽“編み物”に挑戦した参加者も。ほどいた糸を再び編み直してパーツにしたり、編みと縫いを行き来しながら布片を橋渡ししたりと、発想が自在に広がりました。

最初はためらいがちだった手つきが、時間とともに大胆に。布の向きを反転させる、裏地を表として使う、切り替え線を敢えて露出するなど、アーティスト側でも予想しなかった提案が次々と飛び出しました。
最後は全員で自分の作った服を着て、ルック撮影と集合写真。素材の記憶と手の跡が重なった、唯一無二の服が数多く生まれました。

二日間を通して印象的だったのは、参加者の変化です。
最初は慎重だった手が、試行錯誤を重ねるほどに大胆になり、楽しさとともに自分なりの判断が加速していく。
“服はどこまで服か”という問いは、完成品の正しさを競うのではなく、自分の身体で確かめながら決めていくプロセスそのものの中にありました。

当日制作された作品は、2026年1月以降に開催する浦安藝大のイベントで展示予定です。
会場では、参加者それぞれの答えが、着装の姿や縫い目のライン、布の重なりとなって立ち上がっているかと思います。
お楽しみに!